絢爛豪華な京都文化を象徴する西陣織。
染めた糸を使い織りによって模様を描く技術は、5世紀頃、京都に織物の技術が伝わったとされている。西陣の地では、はるか昔から織りの技術が幾つも開発され、今も新しい織りの技に挑戦し続けている。
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京都・西陣の中心にある渡文株式会社。工房には幾つもの織り機が並び、多種多様な織物を織る職人たちがそこで仕事をしている。多くの職人を束ねるのが渡文株式会社の代表・渡邉隆夫。彼は図案の草案、材質・加工方法・設計などを決め、職人たちに伝える。
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渡文株式会社に属している織師の一人、伝統工芸士・津田功。京都の西陣織の未来を担う彼もまた、図案、配色、織りのアイデアを考案し続けている。
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西陣は分業制である。織りはもちろん、糸の染色、紡ぎ、糸繰りなど、数多くの工程をそれぞれ専門の技術に特化した職人たちが担う。
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扱う糸の色が豊富で、染織した横糸が豊かな色彩と模様を織りなすのが西陣織の特徴。一つの織物で扱う糸の色は10数種類以上で多いときには50種類を超える。職人たちは織り機で、それぞれの色の順番を把握しながら作業を進めていく。
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西陣織の仕事を格段と良くしたものがある。それがジャカード織機。19世紀の初頭にフランスで開発され、19世紀後半に西陣の職人をフランスに派遣し、国内に技術を持ってきた。ジャカード織機は模様となる経糸を自動的に持ち上げ、織りで模様を描く手間が大幅に軽減した。
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ジャカード織機で持ち上げられたそれぞれの経糸に、色が染められた糸を通していく。それぞれ糸の形は異なり、通す場所も違うが、職人は糸を通すべき場所に迅速かつ的確に置いていく。
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羅(ら)と呼ばれる糸を絡ませながら織っていく、薄く透かした絹織物がある。日本では主に貴族の冠や羽織などとして宮廷に使われていた格式ある高級品。しかし非常に織りが複雑なため、室町時代に技法が途絶えてしまっていた。渡文株式会社は途絶えていた技法を復活させ、現代の西陣織に活かしている。
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羅織りはかつて途絶えていた織りの技法。その技法は複雑で難しいため、熟練した職人でも1日で数センチほどしか織り進めることができない。こうした1日1日の蓄積で織られていく織物は美しく光を透かす。
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渡文の西陣織は平面ではない。糸が織り成す彫刻のような奥行きと立体感を持つ。
「西陣織は真似することを拒む。常に新しい要素を取り入れ続けている」と渡邉は語る。これからも、渡邉の西陣織は現代の感性に響くものを提案していく。