元禄時代に京都の扇絵師・宮崎友禅斎によって考案された染色技法が京友禅。花鳥山水の表現や華やかな色彩など、まるで絵画作品のように仕上げられる京友禅の着物は現在もなお多くの人々を愉しませている。
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伝統工芸士・田畑 喜八は、江戸時代・文政期より現在まで続く“田畑家”の五代目。様々な技法が生み出された京友禅の中でも、厳格な手描き友禅の伝統を引継いでいる。
着物の図案から配色のデザインまで考案する仕事場。膨大な資料に囲まれ、中には江戸時代の貴重な書物まで含まれる。
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田畑家が代々受け継ぐものの一つが、膨大な色見本。今なお鮮やかな色を放つ、田畑家の貴重な財産である。無限とも言われる色の組み合わせの中から「華主」のイメージに合った色や文様の色彩などを選んでいく。華主とは、田畑家に伝わるお客様の呼び方である。
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友禅染に欠かせない道具の一つが、炉を組込んだ友禅机。
季節や気候に合わせて、炭火を焚く。その熱によって染料を早く乾かせ、しっかりと色を染めるための工夫である。
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色は無限に存在する。実際に使う着物生地に色を乗せて試しながら、膨大な選択肢の中からイメージする色に近づけていく。色探しの工程に一切の妥協はない。
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京友禅では生地に色を塗るのではなく、色を“差す”と言う。
炭火の熱で生地を温め生地の裏側までしっかりと染料を浸透させ、深みのあるしっかりとした色を差すことができる。その後、蒸すことによって生地に色がしっかり定着する。
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幾つかの工程を経て、完成に近づくと最後の仕上げに取りかかる。
着物に描いた文様に、一本一本線を描き込む五代・喜八。どんな物でもその物の中に魂が脈打ってないといけないという「気韻生動」の心得を忘れずに、ただひたすら絵に魂を描き込んでいく。
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五代・喜八が描いた京友禅は、日常を華やかに変えてくれる。
彼は「着物着ていこうかという人は、数日前から用意して気分がウキウキするものだ」と言う。染めの仕事だけではなく、着物を着る楽しみを演出するのも五代・喜八の大切な仕事である。