日本六古窯の一つに数えられる赤津焼。
古くから「土もの」と呼ばれる茶華道用具や日用品などの陶器を作り続けてきた。尾張徳川家の御用窯として栄え、長い歴史の中で様々な技術や技法が確立して現代まで脈々と息づいている。
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赤津焼の伝統工芸士・三宅 紀保。
一般的に陶器は磁器よりも分厚く、「土もの」と呼ばれるに相応しい柔らかい雰囲気を持つ。三宅の作る陶器は、優美な土の風合いを備えながら薄く軽やか。
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赤津地域は日本でも屈指の良質な陶土が産出される特別な地。
この良質な陶土が、赤津焼を支えてきた。
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地面から採った土はそのまま使えるわけではない。瀬戸で採れる本山木櫛粘土、赤津蛙目粘土、赤津山土などの土、そして猿投長石などを独自に配合し、適した土を作っていく。
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ろくろ、たたら、手ひねりを併せて用いて、土の形を整える。
たたらは板作りとも呼ばれる土を板状にして組合せる技法。用途や目的に合わせて、様々に組み合わせて土を自由に扱い、目的の形を生み出してゆく。
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ろくろを終えると素地に加飾することが多い。
古くから陶工達が加飾の技法を開発してきた赤津では、削り目・たたき・へら彫り・そぎ・透し彫り・布目・三島手・印花・櫛目など、12の技法が伝わる。
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志野、古瀬戸、灰釉、黄瀬戸、織部、御深井、鉄釉の七つが赤津焼の代表的な釉薬。
三宅の絵付けは、七色の釉薬と太い筆と細い筆を使い分けて景色を生み出す。色や組合せを工夫し、土の柔らかさと風合いを活かした豪快で豊かな表情が描かれる。
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絵付けを終え、窯に入れて24時間以上かけてゆっくりと焼成する。
織部の場合は焼成した器を団栗のかさを水に浸して作った渋の中に漬け、織部独特の風合いを出してゆく。赤津の長い歴史の中で開発された技法が、現代でも息づいている。
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三宅の赤津焼は、土が軽やか踊るような器。
三宅は「使われてこそ美しさと良さが分かる」と言う。陶器は使い込むほどに肌が変化し味わい深くなる。磁器とは違って扱いは難しところもあるが、柔らかい肌を持つ陶器には育てる楽しみと独特の深い温かさを生活に添えてくれる。