京都は古くから焼物の産地として賑わっていた。京焼・清水焼も歴史が古く、現在に至るまで形状や絵柄も幅広く、表現方法も多様。京焼・清水焼には決まりがなく、職人ごとに器の表情が異なるのが特徴だ。
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伝統工芸士・藤田瑞古の活動拠点は京都・山科。この場所には昔から多くの京焼の工房が存在する。藤田もまた多様に表現される京焼の中で、独自の表情を生み出している。そのような京焼の中で完成度の高さを物語るのは「薄さ」。均一の薄さで仕上げられた器は、さまざまな経験を積んだ藤田の手が生み出す。
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藤田はろくろの前に座り、目の前の「土の塊」を「器の形」へと素早く仕上げる。しかも、どの器も一様に藤田が考える形に。
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外側の形をある程度仕上げると、今度は内側の形を木のへらを使って調整。ろくろを回しながら、器の厚みと角度を寸分狂うことなく整えていく。
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特殊な定規を使って器の大きさや深さを測る。藤田が思い描く器を作り続けるために重要な仕事だ。
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形が整った器は1週間ほど乾燥。1週間後、器をろくろで挽く。回転する器に鉋(かんな)を当てて削る作業は心地良い音をたてながら進む。理想の厚みになると音が変わるという。これは藤田だけが感じることができる音だ。
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丁寧にろくろ挽きを行い、藤田が望む器の形が出来あがる。形が完成すると、次は絵付けを施し器に豊かな表情を与える。
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藤田は絵付け専門の絵師に依頼する分業の形を取っている。彼はお客さんと相談しながら料理を惹きたてる器の表情をめざし、その想いを絵師へ伝える。
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絵付けが施された器に釉薬を掛けて仕上げ。藤田は釉薬を常に一定の厚みになるように手早く掛ける。最後まで器の形を均一に仕上げることが藤田の仕事だ。この後、窯に入れて焼き上げると釉薬の効果で器が光沢のある肌質になる。
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「手に持った時に驚いて欲しい」と藤田は語る。彼が作る器は、どの器も「ちょうど良い」感じに手に収まる。京焼・清水焼独特の繊細さと器の優美な表情を同時に愉しむことができるのも、他の職人に負けたくないと思い、一心に腕を磨きあげた賜物だ。
職人たちの想い